雪舟ものがたり(子供向け)

 こんにちは、ぼくは、雪舟。生まれた時は雪舟って言う名前じゃなかたけど、ややこしいから雪舟って呼んでね。
 ぼくはお寺で生まれたんじゃないんだ。お父さんは、総社市赤浜というところで「武士」をしていた。でも、ぼくに勉強させたく、まだ小さかったぼくをお寺のおしょうさんに預けたんだ。
 ぼくは、野原を走り回ったり、絵を書いて遊ぶのが好きだった。でも、おしょうさんは、そうじやお経の勉強ばかりいいつけた。
 ある日、字の練習をしている時、こっそり絵を描いて遊んでいた。そうしたら、おしょうさんに見つかって・・・
 ほら、ごらんの通り。おしおきに、この柱にくぐられちゃった。ちゃんと反省しなさいって。
 でも、夜になって暗くなってくるし、おなかはすくし・・・涙が出てきちゃった。
 そうだ!涙のしずくで絵でも描いちゃおう!って描いたのが「ネズミの絵」。
 様子を見に来たおしょうさん、ぼくの足がネズミにかじられているのかと思って、あわてて柱からほどいてくれたんだ。
 でも、絵だとわかると、ほっとして、
「雪舟は本当に絵が好きだし、上手だな。わたしは絵の事はわからないが、京の都に行けば立派な先生がいる。重玄寺の千畝和尚に紹介してもらって、勉強してくるがいい。」
と言って送り出してくれた。
 京都のお寺では、おぼうさんの勉強をしながら、絵の勉強を周文という人に教えてもらった。 でも、もっといっぱい勉強したい。
 そうだ、水墨画の本場「明(中国)に行きたい」と思うようになった。
 でも、明に行くには船でしかいくことができない。お金も必要だ。そんなとき、周防(山口)の大内氏というお殿様が「うちの大内船に乗っていけばいい」と言ってくれて念願の明に行く事が出来た。