地元最大の観光名所

いよいよやってきました「シルバーウイーク」
とは言え、中々遠出と言うわけにもいきません。
そこでもっともお金の要らない観光旅行と言うことで
管理人の地元にある「嫁いらず観音院」に行ってみました。

まずは観光協会の宣伝文よりいわれをどうぞ。

「奈良時代、名僧・行基が井原に立ち寄った際、樋の尻山の妖怪悪鬼を観音菩薩に祈念して退治し、
自ら彫った白壇の十一面観音像を樋の尻大磐石の岩陰に安置したことがはじまりとされます。
嫁いらず観音とは、この十一面観音の俗称で、
参拝すれば嫁の手を煩わさずに健康に生涯を全うできるといわれています。
 1999年(平成11年)1月には開山1260周年と鉄道井原線開業を記念して、
国内最大級の石仏「聖観音菩薩」が建立されました。」

決して「男一人で嫁は要らない」とか
「姑が嫁をいびり倒す」と言う意味ではありませんので
誤解の無いように。
簡単に言えば「ポックリ信仰」ですか。
その意味も含めて、参拝する方が持参するものは
「下着」
一番の心配事である「下の世話」を受けないように
下着のご祈祷を受けることによって、いつまでも健康に暮らそうというものです。
もちろん、ご祈祷済みの下着類は「お守り」として販売しています。

大祭は春分の日と秋分の日。
月祭りは17日です。
それでは9月23日の風景です。


奥の院を歩くと、観音様の裏側も見ることが出来ます。


このポックリ信仰について、興味深い論文が産経新聞に載っていましたので
勝手ながら引用させていただきます。

【プロフィル】早川和男 2008年7月9日より

 はやかわ・かずお 神戸大名誉教授(建築学)。昭和6年、奈良県生まれ。
平成7年の阪神淡路大震災以後、被災者生活再建支援法制定に尽力した。
日本居住福祉学会会長。著書に『居住福祉』(岩波新書)など。

日本人はよくお寺や神社にお参りするが、強い信仰心によるというよりも、
生活に根付いた「生活習慣的信仰心」とでもいえるものかもしれない。

 たとえば東京・巣鴨のとげぬき地蔵につながる長い商店街は“おばあちゃんの原宿”として有名で、
一種の福祉空間になっているが、岡山県井原(いばら)市の「嫁いらず観音院」には感心した。

 境内に入ると、高さ7・7メートルの観音像に迎えられる。奈良時代の行基菩薩の開基といわれ、
本尊の十一面観音像を拝めば「いつまでも健康で幸福な生涯を全うし、
嫁の手を煩わすこともない、という霊験がある」とされる。嫁不要(よめいらず)の名で親しまれ、
中高年の参詣者が多い。住職はおらず、毎月17日には近在5カ寺の住職が交代で唱名をあげる。

 境内の池には蓮(はす)の花がいっぱいに広がる。
それに面した本堂の奧から木漏れ日のさす小径をゆくと、奥の院がある。
そこから続くなだらかな丘陵には、三十三観音の石仏が並んでいる。
参詣者は石仏にお参りしながら、20分かけて丘を越える。
家族に手をつながれて歩くお年寄り、脚の不自由な大きな体でつえを頼りにゆっくりと登っていく男性もいる。
頂上は見晴らしのよい展望台だ。

 本尊を拝めば嫁いらずになるわけではない。丘を歩いて越えること、それが嫁いらずにつながる。
「嫁いらず」と命名し、家に閉じこもりがちなお年寄りを外に誘い出し、
観音詣でを楽しみながら、四季折々の小山を歩かせて、健康長寿の手助けをするとは!

 先人には知恵者がいる。見事な仕掛け、演出である。三十三観音像の安置されている丘陵は、
江戸末期から明治にかけて開かれたと伝えられる。

 全国どこにでもある寺社は、お年寄りの安息とウオーキングの場になっている。

 社会保障や高齢者福祉といえば、年金、医療、介護などのサービスを思い浮かべるが、
まちには、地域住民がはぐくんできた高齢者の健康や福祉、暮らしと生きがいを支える施設や文化などがある。
私はそれを「居住福祉資源」と呼び、その発見と評価の旅を続けている。いくつかを訪ねてみよう。



学者の皆さんにかかると、こんな解釈になります。