雪解けの激流の中の一粒
飛騨高山在住修行当時、ときおり奥飛騨は上宝村まで赴く用事があった。
ちようど奥飛騨が雪解けで乗鞍連峰からの冷たく美しい水か、川にあふれ白い水しぶきであたりを濡らしているような時期。
荒れ狂う白い水しぶきを見た自分は、時間的余裕も手伝い、川のほとりにある岩の上に登り川を眺めた。
川は激流による水のぶつかる音ですべての自然音は掻き消えて、ただ川の中に自分がいる。
意識を集中し、ただ川を観る。
川を観る。
水を見る。
水しぶきを観る。
時間の感覚がなくなるその刹那、一滴の水の舞が見えた。
ゆっくり放物線が書かれ飛んでいる水滴。
水滴は私。
岩が近づいてくる。
岩が私にぶつかる。
ああ・・・・。
と、思った瞬間に自分の体に意識が戻っていた。
水の意識に融合していたらしい。
水の意識では流れているのではなく、すべての物が自分に近づいてきているように見えているらしいと、そのとき知った。
水の神の恩恵により一つの感覚を会得した。