備中神楽の演目  (写真をクリックすると拡大して見えます

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2、役指し舞

ふつう布舞や綱舞で神懸りを行った後、その余力をもって焼石を割る。これは、古代の焼畑農耕の作業を儀礼化したもので、荒神が開墾神であることを伝える、割れた石は、こもに包んで荒神社に納める。

”白石しゃー 玉になーれー!!”^
    ”白石しゃー 玉になーれー!!”

☆神楽の説明文は、岡山県神社庁神楽部発行の「備中神楽解説」から引用しました。


1、湯祓い神事

12、吉備津

吉備津神社の言われを説いた神楽、大陸から来た鬼「温羅」が「鬼の城」を構え立て篭もり、万民を悩まし続けていた、そこで大和朝廷に応援を要請「五十狭芹彦の命(後の吉備津彦)」がこれを退治する

岩山明神の舞い出し
”国を守護する 神なれば
          万民世情を 治めん!!”

内宮姫が弓と矢を持って舞い出し、吉備津彦の命と相歌

”鶯の 鳴くにつけても 真金吹く
      吉備の中山 春を知るらん!!”


吉備津彦の命の幕掛かり
”風嵐 音は激しく 聞こゆらん
     今こそ温羅が 来るらんかや!!”


合戦の模様を太鼓が囃す
”温羅が変化て鯉となれば、命は鵜となり!!鷹となれば、鳳となって、追いつ追われつ、上へ上へと登って行く姿であるぞ、よいそりゃ!!よいそりゃ!!  向こうの岸とこっちの岸をさぐっている姿であるぞや!! 傍におっても、これが見えんという、神通時代の神秘の業であるぞ!! 皆さんここらの芸当ご覧よ、よいそりゃ!!よいそりゃ!!  これが国の無形文化財に認められた姿であるぞや!!”

”禍叉温羅を退治申して、吉備の郡は板倉の郷、打てば鳴る 鳴る音響く 鯉山の麓に鎮座坐します・・・・・細谷川には手水の権現、境内より一段下がりて、お釜の段には艮御崎、百二十末社と仰がれ申せば、吉備の郡は幾代久しく、治まる御世こそめでたかりけり!!”

中国から伝来した陰陽五行思想を基に、農耕の基本をなす「暦」と「五行」の説明を話題の中心に据え、宇宙・天地万物を論じる問答形式の神楽。天地開闢の時、万物をことごとく生み広めたとする伊邪岐万古大王が、五人の王子に季節・方位・森羅万象などの分担を遺言して天上する。やがて五郎王子と他の兄弟に不和が生じ、論争の収拾がつかなくなったところで修者堅牢神が登場して仲裁。五郎王子が五行幡を振って舞い上げて終わる。
”四柱よ 恋しくば尋ねても来い 大空の 
          高天原で 巡り合うなり!!”
”花は根に 鳥は古巣へ 帰れども
       老いは若きに 帰らざりけり!!”

埴安彦の命(五郎の王子)が登場
”埴安が 黄しき御幡を 携えて
          下界が島に 天降るなり!!”


論争となり修者堅牢神の仲裁
”東方太郎の命は春の三月の九十日より、十八土用を取りて除いて末に残りし七十二日は、太郎の命が守護なし給え、合点なら承諾し給え・・・・・!!”

五行相生の幡合わせ
”東青 南が赤で 西白し
          北黒ければ 中が黄しき!!”
”青黄や 赤白黒が 和合して
        産子が豊に なるぞめでたや!!”

11、五行幡割り

葦原中津国の大国主の命が、国土を高天原の勅使に献上するいきさつを説く神能。経津主・武甕槌の二柱が地舞の後、大国主の命が登場、中津国の竃巡りをし、観衆に福の種を撒く。大国主が休息しているところへ、二神が再び現れ、国譲りの交渉をする。交渉が決裂したところへ、稲脊脛が登場して仲介の労をとる。大国主は、息子の事代主を呼んで相談し、国を皇孫に献上することを決定する。しかし、他の一子建御名方の命が国譲りに反対し、二神と激戦を繰り広げる。やがて、建御名方の命は二神に力負けして、以降の恭順を誓う。

経津主の命・武甕槌の命(両神)の舞い出し
”神の坐す 高天原より 天下り
        瑞穂の国へ 急ぐらん!!”

大国主の命が舞い出す
”大国が 万宝袋の 紐解いて
      多くの産子に 福を授ける!!”


大国主が休息の所へ両親が現われ、国譲りの交渉となる
「我々が最後の勅使なれば、国を譲るか譲らないか、速やかなるご回答が有ってしかるべきと存ずるぞな!!」
「よろしゅうござる、この打ち出の小槌の威徳をもってお相手つかまつるでござる!!」
 


稲脊脛の命(二番目の使者大国主の家来)の仲裁
「国譲りの一件は、稲脊にお任せ下されまいか」

大国主の命の命により、事代主の命を「諸手船」で迎えに行く
”急ぐには 風の袴に 両の駒
     千里の道も 今ぞひっと跳び!!”

事代主の命が美保が関で獲りの遊びから呼び戻される
”今日もまた 美保の浜沖 静かにて
      いざ舟浮けて 釣りをえん!!”
”すなどりや 獲りの遊びも 空晴れて
      波風立たぬ 今日の楽しさ!!”


国譲り成立
”高御座 天津日嗣と 日の御子の
      受け伝えます 道はこの道!!”


ところが、建御名方の命が反対して合戦になる
”天津神 国津社と 斎りてぞ
        豊葦原の 国は治まる!!”

備中神楽では、建御名方の命(鬼)が「花形」です

しかし、とうとう両神にねじ伏せられてしまいます
「げにありがたな御事や、皇孫ニニギの命が 治め給えば、建御名方は「諏訪の神社」に、事代主は「美保の神社」に、大国主は「出雲の大社」と、仰がれ申せば、治まる御世こそ、めでたかりけり!!」

10、国譲りの能(西林国橋編の神能、その2)

天照大御神が弟神、素戔鳴の命の悪行に怒り、天の岩屋の戸を閉じて、中にこもってしまった。このために高天原も葦原中津国も暗闇となる。慌てた諸神達が天の安の河原に集まって一計を案じるところから神楽が始まる。協議の結果、天鈿女の命が乱舞、その賑々しさに天照大神が岩屋の戸を少し開けたところを手力男の命が強力をもって引き開ける、おなじみの物語が展開する。

天児屋根の命・天太玉の命(岩戸両神)の舞いだし
”天津神 天の岩屋に 閉じこもり
      世は常闇と なるぞ悲しき!!”


思兼の命の舞いだし
”天の岩戸を 開かんとて 八百や萬の神たちを
      集えあつめて 広く諮らん!!”


天細女の命の「サンヤ御神楽」、これが神楽の起源といわれている

天手力男の命の舞いだし
”天照神すら 千早振る
      神のすさびも 畏みましき!!”


天照大御神の出現
”天の岩戸を 開かんとて 八百や萬の神遊び
     これぞ神楽の 始めなり!!”


諸神が「嬉しき舞」で舞入る
”天津神 天の岩戸を 押し開き
     世は明白に 成るぞめでたや!!”

”岩戸開け 光の影の 変わらぬは
     尻久米縄の しるしなりけり!!”

9、天の岩戸開きの能(西林国橋編の神能、その1)

8、神殿神事(略)

荒神をはじめ、八百万の神々を勧請し、鎮座を願う行事。動座加持と鎮座加持との二段構成からなる。その後、千道を八方に張る。特に、荒神式年祭での重要行事。
”御幣立つる ここも高天の 原なれば
        集まり給えや 四方の神々!!”
”神主が 御座へ参るぞ 御座の主
        御座貸し給え 御座守の神!!”

7、白蓋行事

甲乙・丙丁・庚辛・壬癸・戊己の神々を、御座へ降臨を促す舞。五方へ茣蓙を敷いて、その茣蓙をを持って縄跳びのように跳ぶ。

”この茣蓙の 育ちはいずこ 大空の
       大原早稲の 下床の茣蓙!!”
”この茣蓙は 誰打ち初めし 茣蓙なるや
      熱田の宮の 宝の打つ茣蓙!!”
”この茣蓙は 誰敷き初めし 茣蓙なるや
     当所の宮の 禰宜の敷く茣蓙!!”

6、茣蓙舞

『日本書紀』などでいう天孫ニニギの命を先導したチマタの神伝説にちなみ、神楽全体の悪霊祓いの役を演じる。舞いには日本古来の武術の原型が組み込まれ、各地に伝わる「鬼剣舞」に通じる。

"この神剣を持って東西南北に追い払い 十二支五性の御宝 守護なさばやと存じ候!!”
”ご利生な大神にて候 ヨイソリャ ヨイソリャ!!”

5、猿田彦の命舞

備中神楽は荘厳な「命舞」、流麗な「姫舞」、勇壮な「荒舞」など、幾つかの舞型があるが、その全ての基本になるのが、この曲舞である。猿田彦の由来を説明して導く

”五十鈴川 清き流れの 末汲みて
        心洗えよ 秋津島人!!”
”おもしろや 笛や太鼓に 囃されて
      今舞い出す 猿田彦の神!!”

4、導き舞(曲舞)

神楽の始めにあたって、神殿・神職・神楽太夫・氏子(荒神社では産子)・その他一切を清めるために、榊の霊力を称えながら舞う巫舞(かんなぎまい)。

”榊葉に 木綿(ゆう)採り垂(しで)て 打ち祓い
      身には不浄の 霧雲もなし!!”

3、榊舞

祭主から、祭典や神楽その他の一切の役割を申し渡す舞。現在は、祭主の代行として神楽太夫が配役を書いた紙を幣串に挟んで舞う。

”この紙を ただ白紙と 思うなよ
       今宵神楽の 役指しの紙!!”

20、神送り神事(略)

19、石割り神事

18、綱舞・託宣

舞手は、たすきをして綱をくぐりながら舞う。ひとしきり舞った後、綱をゴーヤ、ゴーヤーと始めは素手で、次に石と松明を持ち、動かして神懸りにおちいる。斎主の御祓いの後、久満米によって託宣を行う。普通、布舞か綱舞かで神懸りとするが、両方を合わせて行う例もある。
荒神の御霊を鎮め、その神託を聞く神事。託宣神楽ともいう。

”おー寵愛の斎主の願いは、見せて叶えん道理の義なり、神に願うがご祈祷、人が聞いて勇むも平らかなる御神楽・・!!”

”白蓋の 祈りの糸に 閉じられて
      解くに解かれぬ 神結びかな!!”

”投げ上ぐる 御久満の米の 一角の
     降ろすは神の あらたなるもの!!”

荒神の使いとされる稲わらで作った蛇綱に、前の式年祭から後に生じた新しい祖霊と産子が荒神入りと産子入りを願う行事。神主と蛇綱の問答の後、神殿上に蛇綱が持ち込まれ、東西に張り渡される。その後、神格化の儀式として「鱗打ち」が行われる。

”暫らくお待ち下さい、貴公は異様な恐ろしい姿をされていますが、一体何者なのか?!!”
”私は恐ろしい姿をしていますが、決して恐ろしい者ではありません、蛇でなく竜なのです・・・”

17、綱入れ

神の依り代としての白い布を振って舞手に荒神が依り憑く。神懸かりした舞手は、斎主の呪文に誘導される形で久満米をとり託宣を行う。以下は、特に荒神式年神楽での重要神事。

”しなえ縺れの 八重藤も 
     今日の神楽に 舞うてほどける!!”

16、布舞

神楽の「舞い納め」の神事舞で、猿田彦の先払いに対して、剣舞は「後払い」の意味を持つ

”手に触れし 小太刀の紐を 解く時は
      一切諸神も あらせとや打つ!!”

15、剣舞

悪行を働いたため、高天原を追い遣られた素戔鳴の命であるが、出雲の国で奇稲田姫を救うため、八俣の大蛇を退治する。始めに命が舞い出し、足名槌・手名槌の爺と婆が出て、命にこの仔細を伝える。命は姫を妻にする約束で謀事をもって大蛇を退治する準備を命ずる。命と姫の契りの舞。その後、松尾明神が登場、おもしろおかしく話芸を披露して手伝い人とともに酒造りを演じる。やがて命の「幕掛かり舞」に続く大蛇退治で幕となる。

素戔鳴の命の舞い出し
”まことなるかな 神無月
          根底の国へ 避うらん!!”

爺と婆(足名槌・手名槌)の嘆き舞
”世の中に 哀れと思う 神在れば
         助け給えや 姫の命を!!”

素戔鳴の命と奇稲田姫の契りの舞
”八雲立つ 出雲八重垣 夫妻穏みに
       八重垣造る その八重垣を!!”

松尾明神が手伝い人を呼んで酒造り
”天の岩戸の 扉を開き 面を
          かぶりて 神遊び!!”


”古の 神の真似して 鬼も蛇も
       斬り平らげて 産子栄ゆる!!”


いよいよ神楽のクライマックス。素戔鳴の尊の「大蛇退治」
”稲田姫 大蛇の口は 逃れつる
        その謀略か 酒ぞかしこき!!”

14、八重垣の能(別名、大蛇退治)&お田植え
      (西林国橋編の神能、その2)

13、玉藻の前

 歴史は明らかではないが、謡曲「玉藻の前」を神楽化したもの。皇室に伝わる三種の神器を奪おうとして人間に化けた老狐が、やがて近衛天皇の妃に迎えられ玉藻の前となる、帝は原因不明の病に伏すが、伊勢の国に住む易の名手、安部泰近 泰重兄弟によって、玉藻の前に疑いが掛けられ、八咫の鏡に照らされ正体を現す、これを上総介 三浦介が退治して幕となる。

安部泰重(弟)が出て口上を言う
”私は東京は「高島易団」の親戚の者でして、ここで易きゅう立てる役をやりますけえ、
この神楽は、ぼっこう舞うこたあのうて、語りが多いんで、静粛に聞いてつかあせえ。
・・・・・・・、そんならここで、お客が来るのを待つことにしやう”

親家大臣冶部太夫の舞だし
”花の御殿を、立ち出でて
        安部村指して 急ぐらん!!

「急ぎようやく安部泰近の館に着いたと覚えてあり。お願い申す!!」

安部泰重

”いらつしゃい!!”・・・・・易ゅう立てくれえゆうておいでんさったんですか、そりゃあ内方にゃあ商売ですけえ、せえで何ぼうの易ゅう立てりゃあえんですけえなあ。三通りありまして、本家は生れん前から死んだ先まで判る、当家は二三日のことが判る、出口屋は今言うたことが今違ういう易ですらあ。 何にゅうな、一番高けえ本家ょお、こりゃあええお客じゃ、粗末にゃあならんど、あんたーお金にょう持っとんてんじゃろうなあ・・・・・。

親家大臣冶部太夫激怒
”お金お金言われるが、長いのがよろしいか、・・・・・ そんならこれでも喰らえ。

安部泰近が帰宅

”どちら様かは存じませんが、弟泰重ご無礼の段、平にお許し願わしゅう存じます。
ケンケンゴウリ、ケンケンゴウリ!!・・・・・これは親家殿「四足のたたり」と出ておりますぞ・・・・・玉藻の前御前さまは人間にして人間に在らず・・・・・宮中より八咫の御鏡のお下がりを願わしゅう存ずる。続いて御前のお下がりをお願い致するぞな。

玉藻の前御前が御殿下がり
”親家大臣冶部の太夫、自らに御殿下がりを願いしや、何用なるか!!・・・・・。

以下泰近の尋問に答えきれず、御殿に戻ろうとするが、呼び止められ、八咫の鏡に照らされ正体を現す。
”何を隠そう我こそは、唐で妖怪天竺で白狐、唐土の国より日本三種の神器の一、・・・・見破られて無念や口惜しや、
・・・我招待を現さん、眼を明けてよくと見やあがれ!!


上総介・三浦介が滑稽な狐退治をして終了。

☆宮神楽では通常、榊舞・導き舞・猿田彦の命の舞い・国譲り・大蛇退治を奉納します、時間は約4.5時間です。
☆荒神社式年祭(荒神神楽)では、その他に産子さん等の希望により、これらの中から数曲が併せて奉納されます。その場合6時間から14時間に及ぶことになります。